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 鯉ヶ窪湿原へ行く

 吉備高原の北辺に鯉ヶ窪池という灌漑用池がある。 鯉ヶ窪池は約300年前に備中松山藩主板倉氏が修築したと伝えられているもので、現在も下流の水田約45fを潤している。

 この池の上流約3.6fに広がる湿原が鯉ヶ窪湿原である。 「西の尾瀬沼」とも呼ばれる鯉ヶ窪湿原は、標高550mにある中層湿原で、満朝系の残留植物や、日中共通植物、寒地植物、日本固有植物、その他周辺の植物など300種を越える植物が自生しているところだ。

 7月25日の午後、急に思い立って Ms.S と一緒に鯉ヶ窪湿原へ出かけた。 ひるぜん高原からは片道2時間くらいの行程である。 時期的には、サワオグルマ、ノハナショウブ、ハンカイソウなどの初夏の花々はすでに咲き終わっていたが、それでもオグラセンノウやアギナシなどの珍しい花を見ることができた。 

          ミソハギ
          オグラセンノウ       ノアザミ

 管理事務所を抜けて園内に入ると、ミソハギやクサレダマ、ヤブカンゾウなどに混じってオグラセンノウの濃いピンクの花が見えた。 オグラセンノウはナデシコ科の多年草で、ビッチュウフウロやミコシギクなどとともに、かつて日本が大陸と陸続きだったころ満州、朝鮮、日本に広く分布していたものが、次第に離れ離れに分布するようになった残留植物である。 中でもこのオグラセンノウは、今では鯉ヶ窪湿原周辺、九州北部および朝鮮北部にしか残存していない貴重な植物である。

 木道をさらに進んでゆくと、サワヒヨドリやクサレダマ、ヤマブキショウマなども綺麗に咲いていて、ヤマブキショウマにはヒョウモンチョウが蜜を求めてやってきていた。

サワヒヨドリ クサレダマ
ヤマブキショウマとヒョウモンチョウ

 やがて鯉ヶ窪池に出る。 その名に相応しく池には多くの錦鯉がいて、私たちが近づくと餌を求めて次々と集まってくる。

 池の周囲を巡る園路を歩くと、周囲の林の中に数種のキノコが生えていた。 

アカジコウ シロオニタケの幼菌

 池の周縁のところどころに湿地をよぎるように橋が架けられていて、湿生の植物を観察しやすくなっている。 アギナシが白い3枚の花弁を開き始めており、トンボソウやカキランはすでに盛りを過ぎており、シラヒゲソウの花はまだ開いていなかった。 

アギナシ
カキラン オモダカ

 ヒツジグサも白い花が十数個見えたが、盛りは過ぎているようだ。 この時期多く見られたのは、ドクゼリ、チダケサシ、ヤマブキショウマ、シモツケソウ、クサレダマそれにミソハギだった。

ドクゼリ
クサレダマ

チダケサシ
マスクサの実 ミソハギ

 この日は日中の最高気温が35度にもなって、湿原の陽のあたる場所は蒸し暑く汗をかきながらの散策だったが、初めて目にする植物もあって楽しい午後となった。 鯉ヶ窪湿原は、国の天然記念物にも指定されているので、それなりの予算で管理されているのだと思うが、湿地内には葭の進出しているところがかなり見受けられた。 湿地全般に乾き気味に見られたので、葭の刈り取り等を実施して、湿地の水量確保をしないと、保全は難しくなるのではないだろうか。 

神郷の大水車(親、子、孫の三連)

 帰路、「神郷のおおみずぐるま」という看板を見つけて立ち寄った。 説明板によると、日本一の親子孫水車ということで、一番大きな親水車は直径13.6mもある。

 この日、往路は高速道を利用して行ったが、距離約120km、所要時間約2時間だった。 鯉ヶ窪湿原の駐車場を出るときに、蒜山高原との位置関係からして一般道経由のほうが距離が近そうに思えたので、ためしに帰路は一般道を走ってみたら、何と距離は80kmくらいで、道中も空いていて所用時間も往路と同じ約2時間で帰着した。 結局私たちは往路は高速料金を遣い長い距離を無駄に走ったことになる。 ガソリン代高騰の折から、「出かける前にはもう少し良く経路を確認しておかなければね。」と Ms.S と話したが、「でも一般道走行で浮いた予算で今夜は美味しい夕食を食べに行こう。」と、意見がすぐに一致して、その夜の夕食は韓国料理店でサンゲタンとなった。  

 ('08.07.25)

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