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 102日間地球一周 - ピースボートクルーズ


World

 Part 18 ピースボートクルーズの実態 

 Day 103 / '05.01.31 

トパーズ号はこの看板を背負って世界を巡る

 

[ 薦められないピースボートクルーズ ]

  この旅行記を私たちが参加したツアーの内容に限って記して終えようと思っていたが、読者の方が「ピースボートのクルーズはすばらしいのだ」勘違いをされて、ピースボートに乗ってみようなどと思われては困るので、ピースボートが企画するこのクルーズの実態について、私が感じたままを述べておきたい。

  結論から言えば、私たちは2度とピースボートには乗らないし、また良識のある大人には絶対にお薦めしない。 もちろん参加するしないは個人の自由なので、それでもとおっしゃる方はどうぞご自由にと言うほか無いが、とりあえず私たちが感じたピースボートクルーズの問題点は以下の如くである。

[ 歴史の割りに成長していないNGOピースボート ]

  まずこの企画を立てているNGOピースボートだが、ピースボートのサイトを見ればわかるように、彼らの社会的な活動についてはあまり多くの記事が無く、もっぱら地球一周クルーズの案内に多くのスペースを割いている。 ピースボートのメンバーに言わせると「国内サイトはクルーズの記事が主体だが、海外向けのサイトでは活動をきちんと説明している」 という。 これで彼らが日本では如何にクルーズの集客に比重を置いているかがわかる。

  ピースボートは1983年に初航海にでているが、これは当時国際問題化した「教科書問題」がきっかけとなっている。 教科書検定のさい、日本のアジアへの軍事侵略が「進出」と書き換えられたことに対して、アジアの人々が激しく抗議した経緯があり、このとき自分たちが学んできた歴史について疑問を感じた若者たちが、「現地に行って自分たちの目で実情を確かめてみよう」と考えたことから生まれたという。
 この組織の目指すところは、船に乗って現地に出かけ直接対話をすることによって、「世界中のNGO(市民グループ)や学生たち、子供達と交流しながら、国と国の利害関係とはちがったつながりを創っていくこと」 だという。 この「国と国の利害関係とはちがったつながり」という言葉は、あいまいな表現でその意味するところが明確ではないが、「日本の真の国益に沿う」ということでなければいけないと私は思うけれども、市民ベースでの国際交流や国際親善を進めることには異論はない。 

  NGOピースボートは、設立から20年以上ものかなり長い歴史を持った団体なのだが、今回の第47回クルーズに乗船した20名くらいのメンバーを見ると経験豊かな人間は少なかった。
 クルーズディレクターというピースボートの最高責任者ですら30歳前後でしかもピースボートでの経験はわずか2年という。その他のメンバーはいずれもさらに若い世代である。
 つまりこの組織はメンバーが定着せず絶えず若い世代と入れ替わっているというように見える。 船内、船外での彼らや彼らが指導者と仰ぐ人たちの活動や発言を見聞きすると、事象の捉え方が一元的で、底が浅く、またしばしば言行が一致しないことが気になった。

  例えば、彼らが専門家として招請して船上でレクチャーをさせる「水先案内人」と称する環境活動家の中で、「地球温暖化」について話したグリーンピースの気象変動問題担当者は、科学的な根拠がまだ明らかになっていない地球温暖化の原因を2酸化炭素ガスだけである(太陽活動説や水蒸気説もある)かのように断定的に説明するし、自然エネルギーとして太陽エネルギーの利用を勧めるのはかまわないが、ソーラーパネルによる発電を全く環境負荷のない発電であるかのように話す。
 またオーストラリアの冒険家兼環境保護運動家は、「日本は3000頭もクジラを殺している」と国際捕鯨委員会(IWC)が認めたミンククジラに対する科学的特別許可捕鯨(一般に調査捕鯨といわれている)を日本が違法行為をしているかのように話す。
 また彼が乗客たちに「あなた方は環境保護のために何ができるか言ってみてください」といかにも指導者然として問うので、私が逆に「あなたは環境保護のために具体的に何をされているのですか」と聞くと「特に何もしていない」という。 まったく笑止千万である。

 このような偏った情報とともに彼らの結論を押し付ける「水先案内人」は、問題意識を与えることには役立つかもしれないが、逆に十分な情報と判断力を備えていない10代や20代の若い乗客をミスリードする危険性がある。

 また「人と地球にやさしい船旅」とパンフレットで謳っているピースボートだが、現実には重油を大量に消費し、大気を汚染する老朽船で世界を回り、船内では紙容器を使い捨てて資源をむだ使いし、公海へごみを投棄して海洋を汚染して、恥じるところがない。
 これが「環境保護」を声高に叫ぶピースボートの環境意識の実態なのだ。

[ ピースボートの乗客はピースボートのメンバーか ]

  ピースボートの「地球一周の船旅」パンフレットには、「だれもが自由に参加できる」と謳っている。 事実私たちはピースボートのメンバーではもちろんなく、彼らの活動に協力を申し出たサポーターでもなく、ただ単に彼らが企画するツアーのメニューが気に入ったからこのクルーズへの参加を申込んだわけだが、何の問題も無く申し込みが受け付けられた。 つまり誰でも無条件に参加できる態勢だということになる。

 ピースボートの主たる活動がこの船を出して世界を巡ることにあるので、私たち一般参加者の旅行費用は、彼らの活動費用の多くを賄い、さらにまたピースボートは旅行業者としての資格を持っていないので、旅行主催をする純粋な営利企業の(株)ジャパングレース(彼らのサイトを見るとこの会社はピースボートのクルーズ以外の旅行業務は実施していないように見える。)の利潤にも貢献しているということは当然のこととして理解して乗船した。

  ところがクルーズに参加して奇異に感じたのは、乗客に対してNGOピースボートから彼らのミッションやこのクルーズの趣旨、彼らの活動と乗客の位置づけなどについての説明は、もちろんのこと、乗客の参加費によって彼らの活動が支えられていることに対する感謝の表明がクルーズ中一度もなされなかったということだ。
 私たちを含め多くの乗客はピースボートという組織について多くを知らず、単に彼らが企画したクルーズにツアー客として参加している。 
 ところが彼らは事前にもクルーズ中も上記のことがらについて全く説明をせず、あろうことか乗客の了解もとらずにツアーで行く先々で乗客をあたかもピースボートのメンバーであるかのように紹介するのだ。 これには全く居心地の悪い気分がして閉口するとともに、そのやり方に怒りを覚えた。 

 本来ならば、「誰でも参加できる」などとパンフレットで謳わず、ピースボートのメンバーのみ、あるいはそのサポーターのみで船を出すべきなのだが、そうしないのは、もしそうすると参加者が集まらず、現在のスケールでのクルーズが不可能となるということなのだろう。

  確かに私たちは船腹にピースボートと大書された船に乗って旅行をしているが、NGOピースボートのメンバーでもサポーターでもない。 しかし彼らはこのクルーズ中、自費でしかもピースボートの活動費用と、旅行会社ジャパングレースの利益にも貢献している乗客が参加する各ツアーを彼らの活動の実績として対外的に発表するのだから、これは詐欺行為に近い。 この船に乗っているピースボートのメンバーはわずか20名くらいで、必然的に彼らが交流プログラムと称するツアーに船から下りて参加するメンバーは1〜2名だけというケースがほとんどなので、彼らの交流活動は実際のところ、乗客の協力なしには成り立たないのだ。

 この状況では、ピースボートというNGOは、対外的な見せ掛けの実績をつくるため、一般の旅行会社の如く、世界一周クルーズを企画・販売し、多数の一般参加者を集め、その乗客をあたかもピースボートのメンバーやサポーターのごとく見せて彼らの活動を行っているといわれても仕方が無いのではないだろうか。

[ 低劣なクルーズライフ ]

  そしてこのクルーズなのだが、その質はあまりにもひどい。
 まず船の生活環境だが、実際に船に乗って見ると10代や20代の若者がかなり多く(20代以下の層が約39%を占める)乗っている。  彼らの多くはピースボートのボランティアとしてクルーズのビラ張りやセンターの雑務をこなす代償として安い割引料金で乗船している。 乗船後も船から下りてのオーバーランドツアーに参加することは少なく、ほとんど常時船に乗っていて船内の様々な企画にボランティアとして参加することになる。

 彼らが勝手に楽しんでくれる分には無視してさえいれば良いのだが、夜は遅くまで騒ぐし、日中はあちらこちらにたむろし、通路に座り込んでカップめんをすすっていたり、ソファーに寝そべっていたりして目障りなこと甚だしい。 身なりも決して清潔とは言えない若者たちが多く、いつ洗濯したのかもわからないような薄汚い身なりで船内を徘徊する。 これだけで船はもう新宿や渋谷の路地裏みたいな雰囲気になる。 キャビンも料金の一番安い2段ベッドの4人部屋になり、運悪くその前のキャビンになった年配女性などは、深夜・早朝の騒々しさと同時にドアから見える雑然とした景色にまるでスラム街に住んでいるような気がすると嘆いていた。

  食事や雑多なイベント参加、船内の共用部分の利用などキャビンのクラス以外は、クルーズ費用の多寡に関係ないので、割安の費用で乗船した多くの若者にとっては、このクルーズはきっと楽しいものだろう。 しかし割高の費用負担をしている多くの年配者にとっては、決して快適なクルーズではない。
 もちろん若い人たちのすべてが傍若無人な振る舞いをするのかというと、決してそうではなく、中には常識を弁えた好感の持てる人たちもいるのだが、いかにせん多勢に無勢で、彼らはブリッジで静かに音楽を聴いたり、本を読んだりして過ごすしかないようだった。 もっとも乗客の57%を占める50代以上の人たちの中にも非常識な輩はいて、ロビーで大声でしゃべったり、ソファーで寝たりするので、共用スペースでは静かに読書もできなかった。

  このような状況なので、途中下船の乗客もかなりいたし、クルーズも後半になると、船内の風紀も乱れてきて、中・高年の男性と若い女性の間でセクハラ騒ぎまで起こっていた。

[ 安眠できないキャビン ]

  乗客の発する騒音も問題だが、船自身が発する騒音も尋常ではない。 この船は最初に書いたように相当な老朽船でいつ廃船になってもおかしくない船なので、不安だらけで出航したが、案の定乗り心地はきわめて悪い。
 まず第一に船は常に激しく蠕動しながら航行するので、常に振動を感じるし、船のあちこちから異音が聞こえてくる。
 ついで前回の航海後ろくに整備もせずに出航しているせいか、常に船内の整備作業が行われていて、日中はもちろん夜も遅くまでハンマー音、ドリル音、モーター音その他の金属音がキャビン内に響いてくるし、デッキでは床や手すりの補修のために頻繁に通行止めになったり、ペンキ塗りたての標識が立つ。 これではとても優雅なクルージングの雰囲気などはなく、まるで工事現場で暮らしているような気分になる。

  私たちが当初利用したキャビンでも南極クルーズから戻って来ると、夜11時くらいから突然「ガラ、ガラ、ガラッ」というような金属音がかっきり1時間繰り返し聞こえるようになって、二人とも寝不足になってしまった。 堪りかねた Ms.S がレセプションに連絡して船のクルーに来てもらって、原因を調べてもらったが、「調べてみます。」と言って帰ったきり、何の結果報告も無く騒音は解消されないので、とうとう私がホテルマネージャーと掛け合おうとレセプションまで出かけていったが、レセプションに居たジャパングレースの社員が「責任を持って調査をして結果を連絡するとともに、もし騒音が解消しなければ別の部屋を用意する。」というので、一旦矛を収めた。
 翌日結果を聞くと、階下でなんと夜間に空缶を潰す作業をしているのだという。それなら時間帯を乗客が就寝する夜間でなく日中にしてほしいというと、一応船の方に掛合ってみるという。 するとその夜確かに変化があって、30分だけ作業が早まった。 つまり実質的には何の効果も上がらなかったということなので、最終的にキャビンを代えてもらったが、これは一体どういうことなのか。 この船では客の要望より船のごみ処理作業の方が優先されるということなのだ。 こういう船は客船とは呼べない。 

  当然このキャビンの騒音被害は私たち以外の乗客も体験していて、厳しく苦情を言った数人の乗客はキャビンを代えてもらったようだが、そうでない乗客はじっと耐えるか、睡眠薬に頼っているということだった。

[ 美味しくない食事 ]

  今回のクルーズ参加の目的をツアーに重点を置き、船での生活にはさほどの期待もしていなかった私たちは、まっとうな食事と静かな部屋さえあれば満足だったが、静かな部屋は船内のどこを探しても見当たらず、多少ましな部屋で妥協せざるを得ないということになった。
 次なる食事だがまず夕食の時間が決められてしまう。 早番は5時45分からと、とても夕食には早すぎる時間に設定されており、一方遅番の方は7時30から、と今度は空腹に耐えかねるような時間まで待たされる。 しかも開始から30分以内に行かないとレストランに入れなくなり、食いはぐれる仕儀となる。  どうしてこうなるかというと、この船には800名を越す乗客を一度に受け入れるだけのスペースとサービス体制がないということだ。 
 
  時間帯はともかく食事が美味しければ我慢のしようもあるのだが、ほとんどの客がまずくて食えないと文句を言うほどの代物だ。 ディナーなどは毎日よくもいろいろ思いつくものだと感心するような素敵なネーミングがつけられていて、始めのうちは一体どんなすばらしい料理がでてくるのかと期待をするのだが、どれもさして味付けは変わらず、またなじみのある料理は本物の味とは程遠い。
 しかもスープは大抵さめているし、デザートのアイスクリームは半分溶けた状態でサーブされる。 たまに出て日本食ファンを喜ばせる和定食も魚は冷凍でパサパサしており、しかも濃い味付けで期待を裏切るし、主菜以外は汁物と酢の物か煮物がつくだけで極度にボリュームが少なくなる。 一方洋食で出てくる牛肉は硬くて、力の弱いお年寄りはナイフで切れなくて、ウエイターに力まかせに切ってもらわねばならないほどだった。 
 食事の不味さは決定的で次第に食事時のテーブルの定番の話題となってしまい、これを肴に食事をする始末だ。

[ 割高のツアー料金とお粗末な添乗員 ]

  さて寄港地発のツアーだが、こちらの方は現地発料金としては高すぎるというのが多くの参加者の意見だった。 このクルーズの乗客は、寄港地からのツアーを全面的に旅行主催会社である、ジャパングレースに依頼するので、割高料金を受け入れざるを得ない。
 ツアーのすべてを仕切っている旅行代理店ジャパングレースという会社は東京に事務所を持つ比較的小さな旅行代理店でピースボートのツアーを主たる仕事としているらしい。 このクルーズにもツアー担当として10名足らずの社員(他にクルーとして40名くらい乗船)が乗り込んでいた。 この会社の社員のレベルの低さはまったく信じられないほどで、私たちは可能な限りのオーバーランドツアーに参加し、ジャパングレースの添乗員と称する人たちをたくさん見てきたので断言できる。 大手旅行会社の添乗員として通用するのは、そのうち2名くらいしかいない。

  まず第一に英語の理解力が不足していて、ツアー開始早々「私は英語があまり得意ではない。」と公言する添乗員までいたりして、現地ガイドの説明を十分にツアー客に伝えられない。 第二に現地ガイドの英語が理解できても専門用語(といっても動物や植物、鉱物の名称くらいのことなのだが)が理解できず、結果的に正しい情報伝達ができない。
 この会社の程度の悪さは、添乗員のレベルにとどまらず、一番重要なツアーに対する事前準備がほとんどなされていないことだ。 事前の資料配布もほとんど無いし、添乗員が事前にツアーの内容を勉強しておくといった、添乗員としての常識的な作業さえやっていない。

 事前の準備も無く、専門的な知識も持たない添乗員と行くツアーがどうなるか自明である。 ツアー客は何の説明も無いまま長時間バスに乗せられて運ばれるだけという悲惨な結果となる。 これを避けるためには自分でガイドに直接質問し情報を得る努力をするツアー客しかツアーを楽しめないということになる。

  800人以上もの乗客を対象としたツアーは当然たくさんの企画があり、ツアー数も多いので、必然的に添乗員が不足する。 このとき登場するのがピースボートのメンバーとボランティア通訳のCCと呼ばれる(その多くは若い帰国子女で外国語はともかく日本語が怪しく、また一般常識を欠く)人たちだ。 もちろん彼らは添乗員としての正式な訓練を受けているわけではないし、その意識も薄いのでさらに問題がある。

  あるツアーで添乗員代わりに帯同したピースボートのメンバーは、ツアー客を放っておいて、自分の興味を優先して行動するし、訪問先で提供された資料を帰船後コピーして配布するといっておきながら、再三催促しても結局コピーを配布しなかった。 また別のツアーに添乗員として帯同したあるCC(ボランティア通訳)などは、「初めてのオーバーランドツアー(離船しての遠距離ツアー)なので楽しみです。」とまるでツアー客気分で参加する始末で、彼らは添乗員ではなく、参加者の費用負担でツアーに無料で参加している便乗員というわけである。 こんな添乗員の費用まで負担させられたツアー客はたまったものではない。

  添乗員としての資質を欠く人間を添乗員として起用しても違法ではないかもしれないが、そのようなツアーに喜んで参加する客はいないと思うので、ピースボートやジャパングレースには、はじめからわかっていることなのだから、事前にパンフレットにその旨明記しておくべきである。

  また、営利会社の仕事をNGOのメンバーが日常的に手伝っているわけだが、両者の経理処理は正しく行われているのだろうか。 船内外で非営利団体ピースボートと営利企業株式会社ジャパングレースがまるで一つの組織のように渾然一体となって仕事をしているので、奇異な印象を受けた。

[ あきれたジャパングレース商法 ]

 ジャパングレースという旅行会社の質に低さはほかにもある。
 第一は大金を払ったタイムスケジュールを含むツアーの詳細がツアー直前まで提示されないことだ。  その結果、全く期待はずれのツアーを経験してツアーのアンケートに「0点」の評価をつけた客も居るし、参加可能と案内されていた2つのツアーが、実は最初のツアーから深夜に帰船し、翌日早朝次のツアーに出発することになっていることに直前の案内で気が付いて、体力的に無理だからとキャンセルを申し込むとキャンセル料を支払えといわれた(猛抗議の末キャンセル料は免除されたという)といって、ジャパングレースのあまりの無責任さに以後のツアーをすべてキャンセルした乗客もいた。

 ジャパングレースは、日程的に可能だということと、身体的に可能だということの違いを理解していないということなのだが、これは他のツアーでもツアー客を苦しめていた。
 私たちが参加したサファリツアーでは、80歳を超える高齢の女性がツアー内容を良く知らされぬまま参加をして、激しいジープでの移動で腰を痛めたためツアー期間のほとんどをホテルで静養していて、サファリツアーを楽しめなかった。 ツアーの参加条件にフィジカルな条件を全く考慮しないツアー会社を私は始めて見た。

 ツアーキャンセルについては、私も苦い経験をした。
 最初オーストラリアのツアーを4泊5日のレッドロックへのツアーにしていたが、その後オーガニックライフを見聞するツアーが設定されたので、乗船前に新ツアーへの変更を依頼した。
 ジャパングレースの担当者曰く、「この新しいツアーは参加者が最低催行人数に達しないかも知れないし、一方レッドロックへのツアーはすでにキャンセル待ちが出ていて、一旦キャンセルすると再度参加できなくなる恐れがあるので、とりあえずオーガニックライフツアーへの申し込み状況を見ていて催行人数に達したら、そのときに変更して欲しい」という。

  その後「催行人数を上回る申し込みがあった」という連絡を受けたので、それでは正式に変更をと依頼すると、「今後もし無料キャンセル期間(催行日の一ヶ月前まで)中にキャンセルがでて催行人数を割ると、このツアーがキャンセルされるので、もう少し待って変更されたほうが良い」という。 こちらの5日間空白を作っても仕方が無いので、変更を先延ばしにした。

  それでもやはり気になったので乗船後すぐに変更の手続きをしてくれるよう依頼すると、「2つのツアーにすでに予約されていることになっているので、一ヶ月前の直前までそのままにされて、そのときにレッドロックの方をキャンセルされれば良い」と取り合ってくれない。 勝手にダブルブッキングされていたのには驚いたが、受付担当者の善意だろうと思って、キャンセルはもう少し待ってみるしかないかと思って引き下がったが、船内外のスケジュールに追われているうちにこの件をすっかり失念してしまった。

  次に思い出したのが丁度一ヶ月前の日の夕刻だった。 早速船内で連絡をしようと電話を取ったが5時で受付終了で誰も出ない。 翌日は寄航日で彼らのオフィスは休業、やむなく翌日から始まった8泊9日のサファリツアーの出先でジャパングレースの担当者を捉まえてその旨伝えると、なんと変更は船上でしか受け付けないという。 そしてなおかつその日をキャンセル連絡日として、キャンセル料をとるという。 これにはさすがに怒りを覚えて、担当者レベルでは話をしても無駄のようなので、船に戻ってからジャパングレーズの責任者と話をすることにした。

  船に戻ってから一番年配のジャパングレースの責任者らしき社員に経緯を話し、最終的にはキャンセル料なしに変更してもらったが、これは全くおかしな話だと思う。 元来顧客の了解なしに勝手にダブルブッキングしておき、顧客にキャンセル料が発生するまで放置しておいて、顧客が気づいて連絡すると、その受付を遅らせた上、キャンセル料を取るというのだ。 しかも催行予定で料金を払い込ませた後でも、キャンセルが増え最小催行人数を割った場合には主催旅行契約を実施日の前日でもノーペナルティで解除し、ツアーを一方的にキャンセルできるというのだ。 これはあまりにも一方的過ぎると感じていたので、帰国してからジャパングレースのホームページをチェックしてみた。

  彼らの旅行業約款には、催行人員割れでツアーをキャンセルする場合は、「海外旅行にあっては二十三日目(別表第一に規定するピーク時に旅行を開始するものについては三十三日目)に当たる日より前に、旅行を中止する旨を旅行者に通知します。」とあるので、催行日前日のツアーキャンセルというのは、旅行業約款違反ではないかと思う。 

  また通常の旅行会社であれば、一顧客に同一日程で2つのツアーを予約(ダブルブッキング)させないし、もしツアー会社の都合でそうするなら、最終的に顧客に迷惑のかからないよう、彼らがフォローをして、事前に一本化するのではないだろうか。 ジャパングレースは、顧客に無断でダブルブッキングした上、その一本化のケアを顧客にさせ、自らは杜撰な管理しかしていない。 彼らの杜撰なツアー管理は他のツアーでも経験したが、こちらから指摘しないと、ツアーバウチャーの発行すら忘れていたこともあるし、新たに設定された連続するツアーが実際に参加可能かどうかについてもこちらから確認して初めてタイムスケジュールを調べるというお粗末さだ。

  ジャパングレースの節操の無さは他にもある。 彼らはツアー定員を決めて募集をするが、実際に希望者が多くかつ現地で何とか受けられると判断すると勝手に定員を増やしてしまうのだ。 このために、ツアーは100名、200名といった大グループで行動することになり、必然的に個々のツアー客に対するサービスは低下し、かつツアー中の待ち時間が増えて、実際に見聞する時間が大幅に削減されてしまい、中味の薄いツアーを体験することになる。

[ 責任の所在が不明確なクルーズ ]

  このようにピースボートとジャパングレースの行動をみてくると、彼らの仕事の進め方が読めてくる。 つまりピースボートは、クルーズのツアーの内容に焦点をあわせた販売活動を、安い費用で乗船したい若いボランティアとともに実施して、多数の一般参加者を募り、ジャパングレースとともに利益を得、クルーズを実施する。 ピースボートは、クルーズ中は乗客への事前の了解無しに乗客をあたかもピースボートのメンバーのごとく対外的に紹介して、彼らの活動実績とする。 オプショナルツアーは、ピースボートとジャパングレース両者で企画し、ピースボートとしての交流企画および体験企画はピースボートがセッティングし、他のツアーはジャパングレースが実施(現地旅行会社の企画を買っているケースも多い)する。 またその運営のための人員はジャパングレース、ピースボート双方が互いに補うという仕組みだ。 またクルーズ全体や各ツアーについて、ピースボート、CCを含むピースボートのボランティアスタッフ、ジャパングレースの社員などが交じり合って仕事をするため、責任の所在が明らかでなく、このため乗客は苦情の持ち込み先がわからず、クルーズへの不満を我慢している人たちや不安に感じている人たちも多かった。 

  非営利団体ピースボートと営利企業ジャパングレースという全く性格の異なる2つの組織が相互の人員を見境無く流用しあい、まるで両者が一体のごとくこのクルーズを運営しているわけだが、彼らの個々の会計処理は適法になされているのだろうか。 またもしクルーズ中に事故があった場合にはどちらがどのように責任を取るのだろうか。 そのときの法的根拠はあるのだろうか。 彼らは今後もピースボートの地球一周クルーズを宣伝し、集客し、実施しようとするのであろうが、そのようにして成り立っている彼らのNGOとしての活動は、その目指すところは間違っていないにしても、果たして意味があるのかとさえ思う。

[ まっとうな大人はピースボートに乗るべからず ]

 船内ではピースボートが企画するものに加え乗客が企画したものもあり、実にさまざまなイベントが催されたが、その多くは中高生の文化祭レベルに見えるのだ。 それがわかる大人は到底参加する気にはなれないので、不参加となるのだが、イベントに参加しない乗客は空騒ぎの被害を蒙るだけでなく、一方でその費用も負担させられているわけなので、まさに踏んだり蹴ったりということになる。

 まだまだ書きたいことはたくさんあるが、以上のような理由をとりあえずあげておきたい。 

  ゆったりとこころ静かに楽しめる、優雅な船旅をご希望なら、決してピースボートに乗ってはいけません。  他の選択肢の中からお選びになることを重ねてお勧めします。

  1月31日に終了した第47回クルーズに引き続き、休むまもなく2月2日には第48回クルーズが出航したというピースボートのホームページの記事を複雑な思いで読んだ。

 ('05.02.07)

  


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