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Mar_100.gif (122 バイト) ビヨウヤナギと蜜蜂

  私たちの好きな花木の一つでのビヨウヤナギ(Hypericum chinense )はオトギリソウ科の半落葉低木である。 中国原産で日本へは約300年前に渡来したという。 仲間の金糸梅( Hypericum patulum )やその園芸種であるヒペリカム ヒドコート( Hypericum hidcote) やヒペリカム カリシナム( Hypericum calycinum ) は近年公園などで良く植栽されているが、 花の美しさではビヨウヤナギに軍配を上げたい。 美しさのポイントは何と言ってもその優に2〜300本はあろうかという多数の長い花糸にある。

 「ひるぜんリザーブ」のビヨウヤナギは、当初街の家の庭から数株持ってきて移植したものだが、当地の環境がよほど生育条件に合っているらしく、地下茎を伸ばして良く殖える。

 入り口の円形花壇に移植した年にはまだまばらだったものが、わずか一年ですっかり隙間なく生い茂り、今年は石積の花壇から零れんばかりに咲くようになった。 6月下旬から咲き始めるが花期は長く、夏の間中花を咲かせ続けるので、アジサイと同じくこの季節に欠かせない花である。  

  朝早くビヨウヤナギの花を眺めていると、弾けそうに膨らんだ蕾を見つけたので、顔を寄せてみていると、いきなりポンと弾ける感じで蕾が開いた。 巴状に織り込まれていた花弁がゆっくりと開くと、中からやはり渦を巻いたようにして収まっていた先端に濃いオレンジ色の葯を付けた無数の花糸が立ち上がってきた。 花弁が開いてゆくに連れ花糸も伸びて行き、放射状に展開してゆく。 蕾が開き始めてからここまではわずか20秒足らずの出来事である。 そしてここからはゆっくりと展開がすすみやがて完全に開ききって、その見事な姿を見せるが、花のいのちは短くて2日もすると枯れてしまう。

  このビヨウヤナギは、中国では金糸桃と呼ばれ、ビヨウヤナギ(未央柳)というのは和名である。

 名の由来は白楽天の有名な詩「長恨歌」にあり、玄宗皇帝が楊貴妃亡き後、彼女と過ごした長安の未央宮を訪れた際に、太液の池の蓮花を楊貴妃の顔に、未央宮殿の柳を楊貴妃の眉に喩えて楊貴妃を偲んだ次のような一節があって、そこから美しい花と柳に似た葉を持つ木をこの故事になぞらえて"未央柳"としたというが、花を見て唐代のロマンに思いを馳せることができるというのは、素敵な命名だと思う。

『 帰来池苑皆依旧、太液芙蓉未央柳  芙蓉如面柳如眉、対此如何不涙垂 』 

 『 帰り来たれば 池苑みな旧に依る、太液の芙蓉 未央の柳
 芙蓉は面の如く柳は眉の如く、 此に対して如何にぞ涙垂れざらん 』

  日中ビヨウヤナギの花の周りを蜜蜂が飛び回っていて、せっせと花粉を集めていたので、良く見ると、後肢の一方にビヨウヤナギの花粉でつくった大きな花粉だんごをぶら下げている。 蜜蜂の後肢の脛節の外側は長い毛で縁取られており、中央部が凹んで籠のような構造になっており、「花粉籠」と呼ばれている。 

  働き蜂は顎と舌で花粉を噛んだり舐めたりして唾液と蜜で湿らせ、口器の辺りにくっつけ、この粘着性の花粉と飛行中に腹や脚などに付着した乾燥した花粉を一つにまとめ、これを中肢に送り、さらに胸部や腹部に着いている花粉を集めて大きな花粉塊(花粉だんご)を作ってから後肢の内側にある花粉籠に収めるのだが、これらの作業をすべて飛行中にやってのけるのだからすごい。

優に2〜300本はある長いオシベが優美なビヨウヤナギ
せっせと集めた花粉を花粉籠に入れて飛ぶ蜜蜂

 ('08.06.28)

 


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