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Mar_101.gif (122 バイト) ひるぜんエコガーデニング・プロジェクト - 1
「第一期計画 - 平野部の改修」

 11月も下旬に入るとひるぜん高原も冬支度である。 蒜山三座にははや冠雪が見られ、好天の翌朝にはあたりは霜で真っ白に覆われる。 デッキの横の深いオレンジ色に紅葉したコハウチワカエデの葉にも霜が降り、これからの厳しい冬を予感させる。
 常住している友人たちに聞くと、すでに霜柱が10センチ近くにもなった日があったという。

 私がこの場所を手に入れて以来の夢は、この場所の景観をを自分の納得の行くものに再構築することだった。 

 10年余の時を経て、そのための知識や技術の習得を主目的として、ALPHA(兵庫県立淡路景観園芸学校)で、2年間学び、その総仕上げとして昨年自宅の庭の全面改修を実施した。 この作業の結果として、造園デザインや施工についての経験もさらに積んだので、いよいよ念願のひるぜんの森のランドスケープデザインに取り掛かることにした。

 デザインツールとしては、以前からこの日のためにと、購入し理解を深めていた、「Sierra LandDesigner 3D 7.0」という購入当時$49くらいの安価な米国製の3Dガーデンデザインソフトを使用することにした。 米国製なので、所蔵植物リストに日本の固有種が含まれていないことが難点だが、施工も自分でやるので、全体の雰囲気を捉えることができればよいと考えて敢えて高価な日本製ソフトの購入をしなかった。

3D LandDesigner の編集画面

 全体計画の根幹となるのは、私が提唱するところのエコガーデニングである。 
 つまりこの空間にひるぜん地域のさまざまな生態系(草原の生態系、水辺の生態系、湿地の生態系、河畔林の生態系など)を創出し、この地域に生息する野生生物に新たな生息環境を用意し、地域生態系の保全と生物の多様性の保全を図るとともに、景観としても鑑賞に堪えるものをつくり上げることである。 また全エリアの改修完了時には、生態教育や自然教育の場としても活用できるようにしたい。

「第一期計画」

 早速プランニングに取り掛かったが、河畔林や河川域の整備も含めると広大な作業面積になるので、数期に分けて作業を進めることにした。 
 第一期計画としては、まずログハウス前の平野部の改修から始めることとし、敷地の形状と今回移動させない建物と樹木をパソコンソフトに取り込む。 平面図の左上(北西)部の空白部は、原生河畔林エリアなので、今回は改修対象としない。

第一期工事現場地形図

 第一期計画の設計上の狙いは以下の各ポイントである。
1. 草原、流れのある池、流れのない池、湿地・湿原、林間、林縁の生態系の創出
2. 可能な限り多様な地域自生種の植物の配植
3. 周縁の風景に溶け込む美しい景観づくり
4. 植栽については、植物観察や自然教育にも便利なように、可能な限り科・属ごとにグループ化する。
5. 樹形や樹皮・葉・果実の色などそれぞれの植物が持つ本来の美しさを発揮できるような配植

 作業の手始めは流れのある池づくりである。 流れをつくるためには水の取り入れ口と排出口の間に落差が必要となるが、当地は北端部から南端部にかけて約1mの傾斜があり、さらに東端部から西端部にかけてもゆるやかな下り勾配があるので、これを生かした池の形状を考える。 水の取り入れは東側境界の最北端にある敷地内の水路から取ることとするが、隣接する農業用水路とのトラブルを避けるため、あらかじめ市の担当者に現地確認をしてもらい諒解を取り付けた。

池の配置図

 池の形状はいわゆる和庭によく用いられる心字形で、東側から流れのある池、流れのない池、湿地帯が連なる東西約30m、南北約8mのものとした。 池の水は北東部の流水口から取り入れ、南東部の排水口から東側水路の下流側へオーバーフロー分を流すことにする。 これによって、東側の池では比較的早い流れをつくり、中央部の池ではゆるやかな流れを、さらに東側の湿地帯では静水状態をつくる。

 池の掘削によって発生する土は、池の北側中央部に盛り上げ高さ約1mの高台をつくり、そこには東屋を配置する。 池の北側は石組み、南側は芝地から自然に落ち込む形にして、きれいな汀線が見えるようにする。 

東側からの鳥瞰図

 

池の中央部 池の東側

西側の湿地・湿原部

 池の配置と同時に残りのエリアの植栽計画も実施した。

植栽図 植栽図-彩色

北東方向から見た鳥瞰図

 池の東にはイロハモミジ、ヤマモミジ、コハウチワカエデ、ウリハダカエデ、ウリカエデ、イタヤカエデ、エンコウカエデ、コミネカエデなどのカエデ科の樹木を植栽する。 カエデ類の南側にはナナカマドを数本植える。 さらにその南側にはガマズミ属のカンボク、オオデマリ、ヤブデマリ、ガマズミ、チョウジガマズミ、コバノガマズミ、オトコヨウゾメ、オオカメノキなどを植える。

 それらの東のスペースにはタニウツギの生垣に囲まれた圃場をつくり、植え替えや補植のための育苗ができるようにする。 できればここに花苗の育苗用の温室やコンポスターなどを設置する。

 池の北の小さな丘には東屋を設け、池の南側からも飛び石、沢飛びを経て上れるようにする。 この東屋からは春には池畔のユキヤナギ、コデマリ、さらに北側の川岸のヤマザクラ、レンギョウの花が、初夏には青葉のモミジの林越しにタニウツギの花が楽しめ、秋には各種のカエデの紅葉が楽しめる。 また丘の南斜面には適宜岩を配し、シャクナゲやレンゲツツジを植える。

東屋からの春の眺望

東屋からの秋の眺望

 池にはミツガシワやヒメガマ、カキツバタやヒツジグサ、チゴザサなどを植え、周縁部にはノハナショウブやユウスゲ、カキラン、トキソウ、サギソウ、サクラソウ、ギボウシ、ヤマジノホトトギス、シモツケソウ、ヌマトラノオ、チダケサシ、クリンソウ、サワギキョウ、などの湿生植物を植える。 またサワフタギやノリウツギなどの湿地を好む潅木類も植え込む。

コマユミ サワフタギ


 池の南側にはシラカンバの疎林をつくり、南側からは白い幹肌越しに池の水面のきらめきがのぞくようにする。 シラカンバの林間には、キツネノカミソリを植え込み、鮮やかな色の対比を楽しむ。

 池の西側には周縁部にカワヤナギやヤマヤナギ、マユミ、ツリバナ、コマユミを、河畔林側には高木のヤマナラシの林を、さらにその林間にはオウレン、イカリソウ、エビネ、ミヤコワスレ、リンドウ、セツブンソウ、ユキワリソウ、ヒトリシズカ、クサソテツなどを植える。

ゲートからアゴラを見る

 中央のカキの古木の周りは広い芝地のアゴラ(中央広場)とし、中央および外周部にいくつかのベンチを置く。 アゴラ周辺の明るい草地には、カワラナデシコ、キキョウ、ツリガネニンジン、ホタルブクロ、ヒゴタイ、ミズヒキ、コオニユリ、アヤメ、リンドウ、ワレモコウ、ヤブカンゾウ、ゲンノショウコ、キケマン、ウツボグサ、オオイヌタデ、ネジバナ、スミレ類などを植え込む。 

 中央広場の東には果樹園を設け、ここではリンゴ、アンズ、クリ、イチョウ、サンプルーン、イチジク、ウメ、ヤマボウシ、ザイフリボク、ナツグミ、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリーなどを栽培する。

 ゲートを入り口左右には、アジサイを列植し、正面にはシンボルツリーとして、ホオノキを、その周囲には春から秋に咲く多年草の草花を植える。 ログハウスへの進入路の西側にはウワミズザクラの林をつくり、マンサクやリョウブ、クロモジ、ミツバツツジなどを配植する。

シンボルツリー

 

ウッドテラス周辺

 草本については、種類が極めて多いので、別途植栽条件別に「植栽リスト」を作成して、植栽時の参考に使用することにした。

 今回のプランニングで全体的なレイアウトやおおまかな植栽計画が出来上がり、改修後のイメージも把握できた。 この計画の大きな問題は、流れのある池をつくるための水源の確保と池の掘削や整地、中高木の移植のために必須の重機の手配だったが、水源については今回解決し、重機に関しても今年9月に私のHPを見て、「是非直接会って話を聞きたい。」と来訪された岡山県総社市在住のM氏が所有の重機を貸してくださるといっていただいているので、いまやすべての準備が整った。

 来年の雪解けから作業を開始する予定だが、それまでに少し時間があるので、さらに新しいアイデアが生まれ、プランに加えられることだろう。 作業開始のその日が待ち遠しい。

('05.11.29)

 


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