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Mar_101.gif (122 バイト) 怪しい友人 - 其の一

いつも不意に現われるオオサンショウウオ

  このウエッブサイトを開設してもう10年以上にもなるので、読んでくれる人たちは日本国内はもちろん海外にもいて、色々なメールを頂戴する。 
 内容に関するコメントや質問は大いに歓迎するのだが、中には図々しい輩がいて、個人的な調査依頼や観光案内に旅行案内を依頼してきたり、果ては卒業研究のための膨大なアンケートを事前の了解もなしに寄越して、回答を求めるダメ学生がいたりする。
 自分でできること、自分でやるべきことを安直に他人に依存する風潮は、近年になって若い世代に限らないのが悲しい。

  わざわざ匿名にして、個人情報をなるべくオープンにしないようにしていることは、サイトを読んでもらえれば、わかってもらえると思うのだが、何の予告も断りもなく、いきなり訪ねてくる人たちがいる。
 こちらとしてはその日のスケジュールに勝手に割り込まれて迷惑至極なのだが、塩を撒いて追い返すわけにも行かず、とりあえず応対する羽目になる。 そういう人たちは概ね「礼儀を弁えない自分本位の非常識な人」なので、早々にお引取り頂くことにしているが、中には興味をそそられる人もいて、その後もお付き合いをさせていただいている人も少なからずいる。

  2005年の秋のある日、なにやら書類を片手に中年の夫婦がログハウスを訪ねてきた。 「こちらはMr.T さんお宅ですか? ホームページを拝見して、どうしても直接お話をうかがいたいと思って、訪ねてきました。」とのこと。 「良くここの場所がわかりましたね。」と尋ねると、「ガソリンスタンド、郵便局、講演会をされたという川上小学校などで聞き歩いてやっと探し当てました。」と言う。 「どちらから来られたのですか?」と聞くと岡山県の総社市からやってきたと言う。 場所を見つけられるかどうかも、さらには当人がいるかどうかもわからないのに、いきなり高速道路を走って2時間近くもかけて訪ねて来るなんて、なんとも無鉄砲な人だなと思ったが、その熱意に打たれて話をしてみることにした。

  コーヒーを飲みながら話して見ると、学部は異なるものの同じ大学の一年後輩だとわかった。 大手の木工家具会社に勤務した後、生家のある岡山に戻って、今は趣味の化石や古代史の研究、それに地域おこしの仕事などしているという。

 もらった名刺には「ソシアル・デザイナー」とあり、「ファション・デザイナー」、「料理研究家」、「インテリア・デザイナー」、「プロダクト・デザイナー」、「情報システム・デザイナー」、「ランドスケープ・デザイナー」を綜合したものだという。 この辺りから相当怪しいのだ。 関西人なら即座に、「ほんまかいな!」というところである。 もっとも肩書きというのは「言うたもん勝ち」なので、ご当人がそうだと言えば実力のほどは別にして他人が否定することはできないところがビミョーなのだ。

  美星町の小さな丘に「コンポステラ」(スペイン語で星の広場の意)というしゃれた名前を付けたロッジを建て、若い!夫人がバラの花壇づくりに励んでいる小さな庭もあるという。
 彼曰く、「貴方の生き方や考え方に感銘を受けたので、ぜひ度々お伺いして師としてご指導願いたい。」とかなり一方的な話の展開で、私の方はいささか持て余し気味となる。

  それでも興味をそそられる御仁なので、後日、彼のコンポステラを訪れた。 ついでに彼がプロデュースした有漢の「化石博物館」にも案内してもらった。 うかん常山公園内の小さな城の中の展示室にあって、この地が2000万年前には海の底であったことを示す数々の化石が展示されていて、彼の知識と経験がアマチュア愛好家の域を超えていることが窺えた。
 小高い丘の上に建つ彼のロッジ「コンポステラ」にには、手で回転させることのできる巨石やLPGボンベの底を切り取ってつくった巨大なチャイムなどちょっぴり不思議で面白い幾つかのモニュメントがあった。 彼によると毎年一つずつ制作するそうだが、屋外アートとしては面白いと思った。  彼もなかなかやるのだ。

  ひるぜん高原にやってきた当初は、私の庭を見ながら「こんなに豊かな植生は自分の地元にはない。」と何度も繰り返し言うので、「そんなことはないと思いますよ。 良く見ればきっと沢山の自生植物が見つかるはずですよ。」と言ってあげたら、しばらくして彼の友人の中に山野草研究家がいて、彼と一緒に山歩きをするようになってから、沢山の美しい地元の植物に気づくようになり、「気付けば足元に宝の山があった。」とメールをくれるようになり、時々山野草の写真を撮って送ってくれる。 嬉しいことにいまや彼も私の提唱する「エコガーデニング」の良き理解者の一人となった。 

 

 彼には「ひるぜんリザーブ」の庭づくりでは大変お世話になっていて、池の掘削や石の護岸つくり、高木の移植などで大活躍した重機を快く譲ってくれたり、昨年は河原の草刈を手伝ってくれたりしている。 この項で彼のことを以前から書きたいと思っていたが、いざパソコンに向かうと「さて何と書いたものか?」と思案してキーボードの上で指が止まってしまうのだ。 今回無理やり書いて見たが、やはり彼は他人にはうまく説明しにくいのだ。

 彼のやることと言えば、「巨大スピーカーを作ってハワイアンのCDを聞く」、「露天風呂のステップに化石のテーブルトップを惜しげもなく使う。」、「ジャズドラムを叩けるというのにジャンベを叩かせるとリズムにならない。」、「球根を欲しいというのに茎から上しか持ってこない」、「メールで蠢くという字を使ったら『読めないから、当用漢字を使ってもらいたい!』と言ってくる。」、「ギザのピラミッドに行って、リュック一杯の陶片を拾ってくる。」、「自慢げに人工肛門を見せたがる。」エトセトラ、エトセトラ。

 大体、いきなり私を訪ねてきて「今日から私の先生にします。」ということからして、どうもオカシイ。 一言で言うと「怪しい人」なのだ。 どういうわけか私の周りには「怪しい人」が多い。

 そういえば私は良く人から「年齢不詳。正体不明。」と言われる。 何のことはない、私が一番「怪しい人」で、私の周りに「怪しい人」が多いのは単に「類は類を呼ぶ」ということなのかもしれない。   

 というわけで、夏の暑さしのぎに「怪しい友人」シリーズをぽつぽつ書いてみることにする。 乞う。ご期待!

 ('08.07.08)


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